子育て
知らない間に被害者に。子どもをねらった性的虐待の実態
2024年1月17日
性的虐待につながる、子どもの「性的搾取」の実態
子どもの「性的搾取」とは、性的虐待を目的として子どもに対して自身の立場・権力を行使することです(立場や権力とは、年齢、性別、知能、体格、経済的要因などさまざまです)。
「子どもの性的搾取=程度の重い計画的犯行」と思われがちですが、
実際は以下のような身近なところでも起こり得ます。
パートナー関係の中で行われる性的搾取
彼氏から手なずけられ、彼氏とその友達によって性行為を強要されるケースがあります。
子どもが欲しいものを得るための性的搾取
子どもが性行為を提供することで、欲しいもの(プレゼントや好意など)を得るケースがあります。
なお、ペニスの挿入を伴うセックス以外にも、性的接触、マスターベーション、インターネットなどを通じた性的な画像の乱用も「性的搾取」と見なされます。
特に近年では、セクスティング(性的なメッセージや写真をオンラインで送信すること)からの性的搾取、そして性的虐待が問題となっています。
加害者はどんな人?
どんな人も加害者になり得ます。大半の場合は男性ですが、女性でも性的虐待を行う場合があります(友人関係など)。
被害者になりやすい子どもの特徴
どんな子どもも性的虐待の被害者となる可能性はありますが、以下のケースはよりリスクが高いと考えられています。
- 住居を持たない
- 自己評価が低い
- 最近、特定の人との死別や喪失を経験した
- 介護を受けている
- 若くして誰かの介護をしている
対処するには―2つの課題
こうした性的虐待に対処するうえで、大きな課題が2つあります。
1.被害に遭ったことを子どもが自覚していない
性的同意年齢に満たない子どもの淫らな写真の撮影、公開、配布、性的サービスを目的とした取引・交渉は違法ですが、被害者である子ども自身が「同意なしの性行為やその強要はレイプである」ということを理解していないケースがあります。
2.脅迫されており、まわりに助けを求められない
子どもの性的虐待のサインは見分けるのが困難ですが、脅迫されている場合には、その傾向が特に強くなります。
性的虐待に遭っている子どものサイン
子どもを守るためには、行動を注意深く観察することが重要です。
以下のような場合は、性的虐待のサインの可能性があります。
- 長期間いなくなったり、定期的に帰宅が遅くなったりする
- 学校を休んだり、教室で破壊的な行動を取っている
- 突然、子どもでは手に入らないようなプレゼントや物を持ってくる
- 性感染症の可能性のある症状が出る
- 気持ちの浮き沈みが激しい
- 薬物や酒に手を出す
- 不適切な性的行動を取っている:知らない人と過度に親密にする、露出の激しい服装をする、携帯電話で性的な画像を送信する、など
- 身体的負傷が見られる(打撲やタバコの火傷跡など)
子どもの性的虐待を防ぐには
子どもを性的虐待から守るためには、以下のようなことが有効です。
- 子どもの年齢に合った性教育をする
- 子どもがどんなことでも話せるような信頼関係を築く
- 秘密にしていていいことと悪いことの違いを教える
- 家族と家族以外の境界線を教える
- 自尊心を育て、ものの断り方をきちんと教える
- 子どものインターネット、携帯電話、テレビの内容をチェックする
もし子どもが性的搾取を受けているとわかったら、警察に通報してください。福祉の専門家に相談してみてもいいでしょう。
おわりに:子どもを見守ることを大切に
パートナーや友達、インターネットなどを通じて、身近なところでも性的虐待が起こりうることをおわかりいただけたでしょうか。子どもは性に対する知識や判断力がまだ不十分だからこそ、無自覚なうちに被害者になっているケースがあります。親として、子どもをきちんと見守ることが大切です。