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扁桃周囲膿瘍は何が原因?どうやって治療するの?

2023年12月6日

扁桃周囲膿瘍とは?

扁桃周囲膿瘍とは扁桃周囲炎より悪化した状態のものであり、扁桃腺における炎症が悪化して発症する病気です。扁桃腺での炎症が扁桃被膜を越えその周りに広がり、扁桃被膜の外側に膿が溜まり、腫れてしまいます。

急性扁桃腺炎を患っている人や、もともと扁桃腺肥大の持病を抱えている人が慢性扁桃腺炎を患っていると扁桃周囲膿瘍を発症しやすいといわれています。
膿瘍化する前段階では、一度落ち着いた炎症が再度悪化する(扁桃腺周囲炎急性増悪)という状態になり、炎症が悪化した部位の代謝が滞ることで膿瘍が発生します。

扁桃周囲膿瘍になると、どんな症状が現われる?

扁桃周囲膿瘍では扁桃腺炎の症状が広範囲に広がった状態になるので、激しい咽頭痛が起こり、以下のような症状が現れます。

嚥下障害

痛みで食べ物や飲み物が飲み込めなくなる

内耳感染

感染範囲が内耳まで広がると、耳の奥に痛みを感じるようになる

開口障害

痛みで口を開けにくくなる

高熱や全身倦怠感

関節痛、筋肉痛

脱水症状

水を飲み込めないことから起こる

扁桃周囲膿瘍は、扁桃の左右どちらかだけで発生することが多く、膿瘍が大きくなってくると唾液すら飲み込むのが難しくなり、呼吸困難や脱水症状など生命維持機能にも危険性が出てきますので、悪化する前の対処が重要です。

扁桃周囲膿瘍を引き起こす原因は?

扁桃は舌の付け根の左右にあり、口や鼻などの開口部から体内に細菌やウイルスが入ってくるのを防ぐ働きをしています。健康な状態で免疫機能が正常に働いていれば、細菌やウイルスを跳ね飛ばせますが、疲労や加齢、風邪などで免疫力が低下していると、これらが侵入し扁桃に炎症を発生させます。

炎症の原因となる主な微生物は、溶血連鎖球菌・インフルエンザウィルス・黄色ブドウ球菌・EBウィルスなどです。

これらと戦ったあとに出る膿が溜まり、扁桃腺の周囲が腫れて扁桃周囲膿瘍を引き起こします。

抵抗力が低下している状態ではどんどん細菌やウィルスが増殖するため、膿もどんどん増えてしまい、ひどい場合には胸まで膿が下りてしまう縦隔膿瘍を合併してしまうこともあります。

ストレスが原因になることも?

扁桃周囲膿瘍は、ストレスなどによる免疫力の低下が発症原因になることがあります。
ストレスは様々な病気の原因になり得ますが、扁桃炎を患ったときには重症化しないように十分な休息を取ってストレスが溜まりにくい生活を心がけるようにしましょう。

また、ストレス以外にも不適切な食生活や睡眠不足なども免疫力の低下につながります。さらに、喫煙や過度な飲酒も喉に刺激を与えて扁桃炎を悪化させる可能性があります。

扁桃炎が悪化して扁桃周囲膿瘍にならないようにするには、免疫力の低下につながる生活習慣を改善し、発症早期から適切な治療を受けるようにしましょう。

扁桃周囲膿瘍は、どうやって治療するの?

扁桃周囲膿瘍の治療では、脱水症状や呼吸困難などを一刻も早く改善させるために、膿を排出させる外科的処置が施されます。

扁桃周囲膿瘍は膿を排出させないと完治となりません。注射器を用いて膿を吸引したり、切開して膿を出しますが、多くの場合において入院となります。点滴で栄養や水分を補給しつつ、原因となっている細菌やウィルスを特定するため膿を採取して検査します。

細菌の場合には抗生物質が処方されますが、ウィルスを抗生物質で殺すことはできません。ウイルスが原因の場合は対症療法として消炎鎮痛剤や解熱剤が処方されます。

また扁桃周囲膿瘍を発症した場合は、再発予防のために扁桃摘出術が検討されることもあります。

扁桃周囲膿瘍を予防するには?

扁桃周囲膿瘍は上でも述べた通り、扁桃炎が悪化することによって発症します。
このため、扁桃周囲膿瘍を防ぐには扁桃炎を発症させない・悪化させないことが必要です。日常生活では次のような点に注意しましょう。

  • 生活習慣を整えて風邪や感染症にかかりにくくする
  • 風邪などが流行っている時期はマスクや手洗いなどの基本的な感染対策を徹底する
  • 空気が乾燥しやすい時期は加湿器を使用するなどのどや鼻の感想を防ぐ
  • のどの痛みや発熱があるときは早めに医療機関で治療を受ける

また、幼児期を過ぎても扁桃炎を繰り返す場合は手術で扁桃炎を摘出する治療が行われることがあります。治療の進め方は担当医とよく相談した上で決めていくようにしましょう。

おわりに:扁桃周囲膿瘍の原因は扁桃炎。まずは扁桃炎を予防するために免疫力を保とう

扁桃周囲膿瘍は扁桃周囲炎が悪化することで起こります。予防するためには、扁桃周囲炎にならないように免疫機能を高めることが大切です。
バランスのとれた食生活と規則正しい生活を送るように心がけ、細菌やウイルスの感染予防のためのうがいと手洗いも習慣化しましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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