子育て
今からでも間に合う?花粉症の治療法、舌下免疫療法とは?
2023年9月20日
舌下免疫療法とは
舌下免疫療法は、花粉症を引き起こす原因物質であるアレルゲンを少量、舌の裏側から体に投与して花粉症の改善を試みる治療方法です。このように、少量のアレルゲンを意図的に体に入れて体に慣れさせ、花粉症などアレルギー症状の改善をめざす治療法を免疫療法といいます。
従来、花粉症の免疫療法は注射によって行うのが一般的でしたが、注射のための通院や痛みの負担を軽減するために、舌下免疫療法が考え出されました。日本においては2014年より、保険適用を受けられる治療法として認められています。
舌下免疫療法の手順は以下の通りです。
- スギ花粉から抽出した特殊な薬を、舌の裏側に入れる
- そのままの状態で1~2分待ってから、治療薬を飲み込む
治療中に強いアレルギー反応やアナフィラキシーショックが起こる可能性があるため、1回目の治療は医療機関で行います。このときに大きな問題が起こらなければ、その後は治療薬を持ち帰ってもらい、自宅で患者自身で舌下免疫療法を続けることになります。
舌下免疫療法はいつから始めればいいの?
舌下免疫療法は、花粉症の症状が現れる3カ月以上前から治療を開始すべきと言われています。もし、春の花粉症症状の軽減を目的に舌下免疫療法を受ける場合、地域別の治療を始めるべき時期の目安は以下の通りです。
- 春の花粉症に向けた、舌下免疫療法の適切な開始時期(目安)
-
- 北海道 … 12月中
- 東北、関東、中部、関西、中国、四国、九州 … 11月中
舌下免疫療法を受けるにあたっての注意点は?
舌下免疫療法を受けるにあたり、知っておくべき注意点は以下の通りです。
- 基本的には、スギ花粉による症状にのみ適応する治療法であること
- 治療を受けるには、血液検査でスギ花粉症の確定診断が下っている必要がある
- スギ花粉が飛散する1~5月は、新たに開始することができない
- 適応年齢(7歳~65歳)の条件を満たす必要がある
- 100%効果が現れるわけではなく、20%ほどの確率で効果を得られない可能性がある
- 治療を開始しても、1年目の症状軽減効果は得られない可能性が高いこと
- 最低でも2年間、できれば3年以上毎日治療薬の服用を続ける必要がある
- 治療期間の2~3年の間、初回は2週間後、その後は4週間に1回の通院が必要
- 他の免疫療法と同様、アナフィラキシーショックなど重篤な副作用が出る可能性がある
- また重篤な副作用が出た場合に、自分で適切な応急処置を取らなければならない
上記すべての条件を満たし、かつ了承できる人だけが、舌下免疫療法を受けることができます。
副作用が気になるけど…。
治療を受けるにあたり、重篤な副作用が起こる可能性がどのくらいあるのか、気になると思います。舌下免疫療法に使われる薬品は、自然のスギ花粉から成分のみを抽出したものです。このため、薬害、薬へのアレルギー反応の心配はありませんが、スギ花粉の成分を口に入れることで強いアレルギー反応を現す可能性があります。このような副作用は副反応とも呼ばれ、誰に出も軽い副反応は現れるとされます。
ただ、過去に舌下免疫療法中に命にかかわるほど重要な副作用・副反応が現れた例は、報告されていません。また、注射による免疫療法に比べると、その安全性は高いとも言われています。医師の指示に従って正しく服用すれば、舌下免疫療法で強い副作用が現れる可能性は非常に低いのでご安心ください。
おわりに:花粉症治療のための舌下免疫療法はシーズンの3カ月前までに開始しましょう
舌の裏側に、天然のスギ花粉から抽出した成分を投与してアレルギー症状の改善をめざす治療法を、舌下免疫療法と言います。初回のみ医療機関で行い、以降の2~3年間は患者が自分で薬剤を服用することで、治療を続けられるのが特徴です。ただし、花粉の飛散が始まる3カ月以上前から治療を開始するのが望ましいです。舌下免疫療法を受けたい人は、早めに医療機関に問い合わせましょう。