子育て
小腸イレウスを発症する原因は?どうやって治療していくの?
2023年8月16日
小腸イレウス(小腸閉塞)ってどんな病気?
小腸は体の中で最も長い臓器です。およそ6mほどの管のかたちをしていますが、ぐるぐると曲がりくねった状態で体の中に収まっています。胃や十二指腸で消化された食べ物を分解し、栄養素を吸収する働きを持ちます。
小腸イレウス(小腸閉塞)は、腸の内部を通る食べ物や消化液、ガスなどの流れが止まってしまう病気です。口から入った食べ物や体内で分泌される消化液は、食道を通過し肛門から排出されるまで、一方通行で流れていくのが正常な状態です。小腸管がふさがると食べ物や消化液がそこに溜まってしまい、さまざまな症状を引き起こします。
小腸イレウスの症状
- お腹が膨れる
- 腹痛
- 排便・排ガスが止まる
- 嘔吐
- 便秘または下痢
- 発熱
小腸イレウスが悪化すると起こる症状
- 顔面蒼白
- 脈拍が速くなる
- 脱水症状
- 電解質異常
- ショック状態
- 意識障害
小腸イレウスになる原因は?
小腸イレウスは原因によって分類され、症状がそれぞれ異なります。
機械的腸閉塞
腸管に変形などの異常が発生し、食べ物や消化液の通過を妨げます。小腸イレウスの約9割が機械的腸閉塞によるものです。腸管に血行障害が認められるかどうかで、さらにふたつのタイプに分類されます。
- 単純性イレウス
- 血行障害はありません。原因の多くは腹膜炎など腹部の手術後に発生する癒着です。腸と腹腔壁、腸同士がくっつき、腸管が後天的にふさがったり曲がってしまいます。すると小腸の運動に伴い、激しい痛みに襲われます。手術を原因とするほか、便秘、腫瘍や圧迫、異物の誤飲、先天性によるケースがあります。
- 複雑性イレウス
- 腸管が癒着するなどした結果、小腸にねじれや絞めつけがみられ、血行障害を引き起こします。急激に腹痛が発生し、痛みはどんどん強くなります。血液が十分に送られず小腸が壊死するおそれがありますので、緊急手術が必要です。対応が遅れると、小腸に穴が開いたり、細菌感染による敗血症、多臓器不全、腹膜炎などに進行する可能性があります。
機能的イレウス
腸の働きに異常が発生し、イレウスを引き起こします。腸管が麻痺または痙攣し、食べ物や消化液の流れが止まることを原因とします。麻痺性イレウスと痙攣性イレウスがあります。
- 麻痺性イレウス
- 腸炎や腹膜炎、血液中の電解質異常、特定の薬剤の影響などが原因として考えられています。
- 痙攣性イレウス
- 中耳炎などの炎症や胆石、神経異常によって腸管が痙攣します。
小腸イレウスってどうやって治療するの?
小腸イレウスの診断ではまず問診と血液検査を行います。それから発症を疑われる部位を特定するための検査に進みます。レントゲン(X線)検査で患部の特定ができる場合が多いですが、そのほかCT検査や超音波検査なども実施されています。
治療の基本は保存療法で、絶食と点滴です。口から水分や栄養分を摂取すると、消化管を働かせ負担をかけてしまいますので、点滴での水分・電解質の補給でエネルギーを確保します。そのため入院しながら治療を行うのが一般的です。
小腸イレウスは原因によって分類されますが、治療法もそれぞれ異なります。保存療法のほかに行う治療法を紹介します。
- 単純性イレウス
- 腸管にかかる圧力を和らげる「減圧療法」を行います。チューブを鼻や肛門から入れて腸の内容物を排出します。保存療法や減圧でも効果がみられないと、手術が必要になります。
- 複雑性イレウス
- 重篤な症状を招く可能性が高いため緊急手術が必要です。症状に応じて手術法を選択します。
- 機能的イレウス
- 保存療法で様子をみます。入院期間は1~2週間程度で改善がみられるケースが多いです。ただし重症化していたり慢性化していると、手術が検討されることがあります。
小腸イレウスは予防できる?
小腸イレウスはお腹の手術を受けたことがある人や普段から便秘気味の人などが発症しやすい傾向にあります。
小腸イレウスのリスクが高い人は日常生活の中で次のような点に注意しましょう。
- 暴飲暴食を避ける
- ゆっくりよく噛んで食べる
- 水分をこまめに摂る
- 腸の調子を整える乳酸菌が含まれた発酵食品を積極的に摂る
- 食物繊維の多いものは避ける
- 油分の多いものは避ける
- 適度な運動習慣を身につける
おわりに:絶食と点滴が治療の基本。複雑性イレウスは緊急手術を!
水分や栄養分の消化吸収を阻み、危険な血行障害を引き起こす可能性のある小腸イレウスは、早めに治療をスタートさせましょう。特に複雑性イレウスは命に関わる病気です。異変を感じたら外科手術を行っている病院を受診してください。