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交通事故に遭ったとき、痛くなくても病院へ行ったほうがいいの?
2023年4月26日
交通事故に遭ったら、痛くなくても病院へ行くべき?
交通事故に遭っても、事故の規模によっては体のどこにも出血がみられず、痛みもなく、意識がはっきりした状態のままでいられるケースもあるかもしれません。
しかし、事故直後にはケガや痛みの自覚症状が一切ない場合でも、目に見えないかたちで体に大きな損傷を負っている可能性も十分考えられます。事故に遭ってから数時間、数日経ってから体に異常や痛みを感じて病院を受診しても、すぐには原因を特定できない場合や、既に重篤な状態に陥っているケースもあります。
「どこも痛くないしケガしてないから」「この後予定があるから」などと思わず、交通事故に遭ったらすぐに病院へ行き、検査や診断を受けましょう。
病院へ行くべき理由1:事故直後は痛みを感じにくい
通常、人は交通事故などの大きな危険に突然遭遇すると、身体能力を高めるアドレナリンや鎮痛作用のあるβエンドルフィンが分泌され、一種の興奮状態に陥ります。そのため、本当は内臓など見えない部分が損傷しているのにも関わらず、痛みを自覚できないことがあります。
実際、事故直後には痛みを感じず、「念のため」と救急車に乗り込んだ方が、搬送中に興奮と鎮痛作用が治まって痛みで動けなくなることも珍しくありません。
事故直後は、興奮と体の自己防衛反応から、正しく痛みを自覚できないことも多いです。たとえ本当に痛みを感じていなくても、必ず病院へ行きましょう。
病院へ行くべき理由2:むちうちはすぐ症状が出てこない
交通事故によるケガ、損傷のなかには、すぐには症状が現れないものもあります。その代表的なものが、交通事故による「むちうち」です。
むちうちは、正式名称を「頸椎捻挫(けいついねんざ)」や「外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」などと言う、首の捻挫です。交通事故などで強い衝撃を受けた際に、鞭がしなるように神経の束である首が前後に揺さぶられることで起こる外傷で、痛み以外にも以下のような症状を表します。
- 長期間にわたり断続的に続く、首の強い痛み
- 原因不明の、首の調子の悪さ
- 強い肩の張りやコリ、吐き気
- 頭痛、疲れやすさ、倦怠感、めまい、不眠
- 肩や手先のしびれ、動かしにくさ
- 天気や湿度により、上記の症状の出方に差が大きい
- 上記の症状から集中力がなくなり、仕事に支障をきたす など
むちうちは、交通事故に遭った人の7~8割に現れる症状ですが、痛みはすぐには現れず、事故後数時間以上経ってから現れるのが一般的です。このため、むちうちを起こしていることに気づかないまま、事故直後に病院に行かず、後から痛みで病院に行き事故による損傷がわかる、ということも珍しくありません。特に現代人は、スマホやパソコンの使用でストレートネックになっている人が多く、むち打ちによる症状が重くなりやすいので、注意が必要です。
病院へ行くべき理由3:慰謝料を請求できる道を残す
事故の加害者への慰謝料・治療費の請求は、被害者の体の不調や痛み、ケガと事故の因果関係が証明できなければ行えません。事故から時間が経てば経つほど、病院で事故と体の不調の因果関係を証明する診断書を書いてもらうことが難しくなります。
事故と負傷の因果関係を証明する内容の診断書がないと、加害者との話し合いで疑いをかけられ、支払われるべき金銭を受け取れない可能性が高くなります。被害者である自分の権利を守り、適切に行使するためにも、事故直後は必ず病院に行って診察を受け、医師から診断書を受け取ってください。
また、事故が原因の外傷や体調不良で通院する場合は、必ず初診時からあわせて継続的に領収書を保管し、相手方への治療費の請求に役立ててください。
交通事故に遭ったら、何科に行けばいいの?
明らかな外傷や出血がない場合、事故直後にまず受診すべき病院の診療科目は整形外科です。整形外科は、主に骨・神経の異常を調べて診断する診療科目なので、事故による骨や神経への影響を見るためにも、まずは整形外科でレントゲンを撮ってもらいましょう。
また、整形外科で何も異常が見つからなかった場合も、念のために内科やCT・MRI検査に対応した病院を紹介してもらい、受診するのもいいでしょう。なお、整形外科と混同されやすい整骨院は病院ではありませんので、事故直後には必ず整形外科の病院に行ってください。
おわりに:交通事故に遭ったら、痛くなくてもすぐに病院へ!
交通事故直後、人体は突然の危険に対して興奮状態にあり、鎮痛作用のある物質も分泌されているため、視認できない損傷は自覚できないことがあります。そのときに痛みがなくても、後からむちうちなどの症状が出る可能性が非常に高いので、事故直後は必ず病院に行って診察を受け、医師から診断書を受け取りましょう。事故から時間が経ってから受診しても、損傷との因果関係を証明するのが難しくなることも、合わせて押さえておきましょう。