子育て
カリウムの効果と適切な摂取量 ― カリウム食材のおすすめレシピ
2023年1月4日
カリウムとは、どんなミネラル?
カリウムは、ナトリウムと拮抗した関係を持つミネラルで、生命維持には欠かせないものです。カリウムは、遊離イオンやリン酸塩、たんぱく質と結合した結合体としてほとんどが細胞内に存在しています。血液やリンパなどの細胞外液や骨にもごく一部含まれていて、成人の体内には約120〜200gのカリウムが含まれています。
近年では、食生活の変化や塩分の摂取量の増加などによって、カリウムは現代人の不足しがちなミネラルとして重要視されています。
カリウムの作用と期待できる効果は?
カリウムは高血圧やむくみの予防と改善に役立ち、筋肉の機能を正常に保つ作用があります。
高血圧予防
カリウムは汗や尿として排出される際に、ナトリウム(塩分)も一緒に排出するため、高血圧の予防に役立ちます。
むくみの解消と予防
塩分の過剰摂取やカリウム不足などでカリウムとナトリウムのバランスが崩れると、細胞内の塩分濃度を下げようとして水分をたくさん取り入れ、むくみが現れます。カリウムを摂取すると、塩分濃度を下がることになるので、むくみの解消と予防に役立ちます。
筋肉機能を正常に保つ
筋肉の収縮には、ナトリウムとカリウムが関係しています。ナトリウムとカリウムをバランス良く摂ることで、筋肉は正常に収縮しやすくなり、筋肉機能も保ちやすくなるといわれています。
原因がわからない疲労感やだるさなどの症状は、カリウム不足による筋肉機能の低下が原因で起こることがあります。
不定愁訴など、さまざまな症状の緩和
カリウムが不足してナトリウムが優位になると、以下の症状が現れることがあります。
- 脱力感
- 痙攣
- 食欲不振
- 不整脈
- 心不全
- 排尿困難
カリウムの1日の摂取量の目安は?
日本人の食事摂取基準(2020年版)では、18歳以上の男性では1日2500mg、18歳以上の女性で2,000mgが、カリウムの1日の摂取量の目安とされています。高血圧などの生活習慣病の予防のためには、18歳以上の男性で3,000mg、18歳以上の女性で2,600mgを目標にすることが設定されています。
カリウムは多くの食べものに含まれているので、健康な人であれば、3食規則正しく、たくさんの食品をバランスよく食べていれば、不足することはほとんどないと考えられています。ただし、カリウムは水に溶けやすい性質があるため、加工された食品や長時間水にさらした場合は失われやすいです。
加工品を食べる機会が多い場合や、同じメニューや食材ばかり食べることが多い場合は、不足する可能性があります。平成30年国民健康・栄養調査では、すべての年代で平均のカリウム摂取量が目標の摂取量を下回っているという結果が出ているので、意識して摂取したほうがいいでしょう。
[参考]
日本人の食事摂取基準(2020年版)
平成30年国民健康・栄養調査
カリウムに過剰摂取のリスクはある?
カリウムをたくさん摂取しても、腎臓が正常に機能していれば、尿とともに排出されます。そのため、健康な人が食事から摂取する限りは、「カリウムの摂りすぎ」になることはほとんどありません。ただし、サプリメントを飲んでいる場合は過剰摂取になることがあるので注意してください。
また、腎臓の病気などが原因で腎機能が低下している場合は、通常の摂取量でも過剰摂取となり「高カリウム血症」を引き起こすことがあります。腎機能が低下している人は腎臓への負担を軽減するため、カリウムの摂取量を制限されることがあります。
すでにカリウムの摂取制限を指導されている人は、医師の指示に従ってください。
カリウムが豊富な食べものとおすすめの調理方法は?
カリウムは、さまざまな食材に含まれていますが、野菜、果物、海藻類、イモ類などにとくに多く含まれています。野菜では大根、かぼちゃ、にんじん、ほうれん草、小松菜などに豊富に含まれ、果物ではスイカ、メロン、柿、バナナ、アボカドなどが豊富です。イモ類では里芋やサツマイモなどに多く、大豆やインゲン豆などの豆類などにも多く含まれています。
肉類にもカリウムは含まれていますが、高血圧などの生活習慣病予防を考えるなら、野菜や海藻類、イモ類、豆類中心の食事を心がけましょう。
カリウムを効率よく摂取できる調理方法
カリウムは水に溶けやすいため、長時間水にさらす調理方法や、煮汁を捨てる煮物などでは失われやすいです。カリウムを煮物にすると、3割程度のカリウムが煮汁に溶け出すといわれています。
煮る調理をするのであれば、味噌汁やスープなどにするか、煮汁まで飲むメニューにしましょう。
また、切り干し大根やドライトマト、干し柿やドライフルーツのように、乾燥させたものは、グラム単位に含まれるカリウムの量が多くなります。乾燥した食材を使うことも、カリウムを効率よく摂取することにおすすめの調理方法です。戻したときの水には、カリウムや旨味が溶け出していますので、うまく再利用するようにしてください。
ただし、塩もみした水を再利用するべきか、野菜は洗わないほうがいいかなど、考えすぎてしまうと美味しい食事が作れなくなってしまいます。カリウムはたくさんの食べものに含まれているので、生で食べられる食材を取り入れる、たくさんの食材を使って調理するなどの工夫で対処しましょう。
カリウムが豊富な食材を使ったおすすめレシピ
カリウムの不足を防ぐには、カリウムが豊富な食材をバランスよく取り入れたメニュー作りが大切です。カリウムが豊富な食材を使ったおすすめレシピを、3つご紹介します。
きゅうりとバナナのサラダ
きゅうりとバナナを組み合わせたフルーツサラダです。お好みで、ほかの野菜を追加してもかまいません。適度に甘さがあって腹持ちがよく、ビタミンも豊富なので、ダイエットにもおすすめです。
時間が経つとキュウリから水分が出るので、常備菜として作り置きしたい場合は、きゅうりを塩もみして水分を出しおきましょう。
作り方
- 一口大に切ったきゅうりとバナナをマヨネーズで和えて塩コショウする
- 冷蔵庫で30分ほど冷やす
- 食べる分をお皿に盛り付けて完成
白菜とベーコンのえのき巻きスープ
下味無しでも、スープで白菜やえのきを煮込むだけで、低カロリーで満足感あるメインディッシュになります。スープとして飲めるので、溶け出したカリウムも無駄になりません。今回はコンソメを使いましたが、中華だしや鍋用調味料などを使っても美味しく仕上がります。
作り方
- えのきとベーコンが巻けるくらいの大きさに白菜を切る
- 切った白菜を電子レンジで1~2分温め、やわらかくする
- やわらかくなった白菜で、えのきとベーコンを巻き、巻終わりを楊枝でとめる
- 市販のコンソメを溶かして鍋でスープを作り、やわらかくなるまで煮込む
- 塩コショウで味を整え、少しなじませたら、器に盛り付けて完成
メロンシャーベット
メロンはカリウム摂取におすすめの果物です。新鮮なうちに冷凍すればカリウムは失われにくいので、シャーベットはカリウムの摂取に役立ち、長期間の保存にも向いています。食べきれない量のメロンをもらったときや、ダイエット中の人にもおすすめです。
メロン1個に対し、コンデンスミルクと砂糖を大さじ3杯ずつ入れるのが基本となりますが、お好みで調整してください。生クリームや牛乳を入れても美味しいです。スッキリした味わいが好きな人は、レモンを入れたり、ミントの葉を添えたりするのもおすすめです。
作り方
- メロンを適当な大きさ切り分け、皮をむいて種をとる
- 切ったメロンをミキサーに入れ、コンデンスミルクと砂糖を入れて撹拌する
- 好みの型に入れて、冷凍庫で冷やせば完成
おわりに:ちょっとした工夫でカリウム不足は解消できる。高血圧気味な人、むくみが気になる人は試してみて
バランスがいい食生活を送っていれば、基本的にはカリウムが不足することはありませんが、加工品や外食が多い現代人はカリウムが不足しやすいです。カリウム不足は、高血圧やむくみなどの原因になることがあり、健康や美容にもよくありません。
カリウム不足を防ぐには、カリウムが豊富な食材である野菜や果物、海藻類を中心に、たくさんの食材をバランスよく摂ることが大切です。煮汁や乾物を戻した水などもうまく使いながら、効率よくカリウムを摂取しましょう。