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O157は何度で加熱すれば死滅するの? 冷凍メンチは要注意?
2022年11月9日
O157は何度で加熱すれば死滅する?
O157は、下痢や腹痛、血便などを引き起こす腸管出血性大腸菌の一種です。牛や豚、羊などの家畜の腸内に生息している菌で、これらの家畜の糞便や糞便に汚染された水、食べ物が口の中に入ることで、人間に感染します。
このO157はハンバーグやローストビーフといった肉類だけでなく、サラダや惣菜などさまざまな食品・食材から発見されることがあり、感染力の強い菌としても知られています。しかし一方で、O157は比較的熱に弱い菌ともいわれており、75℃で1分以上加熱すれば死滅するということがわかっています。
冷凍メンチのO157は加熱しても死なない!?
2016年、神奈川県の食肉加工卸会社が販売した冷凍メンチにより、O157に感染した患者が続出するという事件が発生しました。問題となったメンチカツは電子レンジでチンするものではなく、油で揚げるタイプのものだったため、「油で揚げたにもかかわらずO157に感染した」という事態の恐ろしさによって、このニュースは話題となりました。
では、冷凍メンチのO157は加熱しても死滅しないのかというと、そうではありません。先述の通り、75℃で1分以上加熱すれば菌は死滅します。ただ、メンチはブロック肉とは違い、肉を挽いて混ぜた形状のため、菌が表面だけでなく全体に混ざった状態となっています。つまり、中までしっかり加熱しないと、菌が残存してしまうのです。
また、スーパーの冷凍ショーケースに陳列されている食品には、おおまかに「冷凍食品」と「惣菜半製品」の2種類があります。このうち冷凍食品は食品衛生法に基づき、大腸菌が存在しない状態で販売することが義務付けられていますが、惣菜半製品は家庭で加熱調理されることを前提としているため、規格基準が存在しません。そして惣菜半製品に該当する冷凍メンチの場合は、生肉と同じように十分に加熱調理して殺菌する必要があるのです。
なお、冷凍メンチは同じ鍋で一度に複数個揚げると、油の温度が低下して中心部にまで熱が通らないことがあります。表面上揚がっていそうに見えたとしても、安全のために、多少焦げても中心部まで加熱するようにしてください。
O157対策の加熱処理、お肉を調理するときの注意点は?
本来、お肉は表面にしか食中毒菌が付着していないので、ステーキ肉などのブロック肉は表面をよく焼けば大丈夫です。
しかし、先ほどもお伝えしたとおり、メンチやハンバーグなどの混ぜ込んだものは内部にまで菌が入り込んでいるため、中心部まで十分に加熱する必要があります。生ハンバーグにO157を混ぜてつくり、フライパンで加熱する実験を行ったところ、中心温度が75℃で1分以上加熱したにもかかわらず、蓋をしなかった場合はO157の生存が確認されたそうです。一方、蓋をして加熱した場合は死滅が確認されました。
なお、煮物の場合は、煮汁にちゃんと浸かっていれば、沸騰から5分程度で火が通ります。炒め物の調理の際は、先にお肉を入れて色が変わるまで炒めてから、野菜などの食材を投入するようにしてください。
【 東京都福祉保健局 の情報をもとに編集して作成 】
O157対策の加熱、電子レンジ調理の際の注意点は?
電子レンジでの加熱処理でも、食品全体を75℃で1分以上加熱すればO157は死滅します。ただ、電子レンジは加熱ムラが出やすいので、電子レンジ用の容器と蓋を使い、調理時間をしっかり守って、熱の伝わりにくいものはときどきかき混ぜることが大切です。
【 厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】
おわりに:75℃で1分以上の加熱がキホン。ただ、食品によっては追加の処置が必要
O157対策の加熱処理では、「75℃で1分以上」が鉄則です。ただ、食品の種類や個数によっては、この通りに加熱しても菌が完全に死滅しないケースもあるので、多少加熱しすぎる程度であっても、しっかり処理を行うようにしてください。