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足や足首が痛む原因と対処法 ― 靴はどうやって選べばいいの?
2022年10月5日
足や足首が痛くなる原因はケガ?病気?
足や足首(足関節)は、立つ・歩く・走るなど、普段の生活動作に大きく関わる部位です。痛みがひどくなれば仕事や日常生活にも大きな支障をきたすこともあります。
足首や足の痛みの原因としては「足関節捻挫」が特に多いです。足関節捻挫とは、いわゆる「足首をひねる」「足をくじく」ことであり、関節に強い力がかかることで靭帯や筋肉に損傷が起こる「外傷」の一種です。足や足首の痛みを引き起こす代表的な外傷として、以下のようなものがあります。
- 足関節の外側・内側靭帯損傷
- いわゆる足首の捻挫。内返し捻挫が大半のため、前距腓靭帯の損傷が多い。軽度の損傷、靭帯の一部が切れるもの、靭帯が完全に切れるもので重症度が分けられる
- アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎
- 合わない靴を履き続ける、偏った姿勢やスポーツによる負担の蓄積で、アキレス腱や周辺の組織に炎症が起こる。圧痛や熱感、腫れなどの症状が現れる
- 足底筋膜炎
- 体重増加やスポーツによる負担が繰り返されることで、足裏の筋膜・腱膜に炎症が起こる。朝一番や動き始めに痛みがひどくなることが多い
- 足関節の骨折
- くるぶし部分の骨折。複数の骨や靭帯が損傷すると手術が必要になることもある
- 腓骨筋腱脱臼
- 腓骨筋腱が外くるぶしからはずれる、比較的まれな外傷。足の後外側の痛みや足首の不安定感、腱に沿った腫れなどの症状が出る
- 距骨軟骨骨損傷
- 足首を捻挫したときに起こることが多いが、スポーツでの負担が繰り返されることが原因になることもある。捻挫が治った後も痛みが続く。損傷後処置をしないまま時間が経過した場合、手術が必要になることもある
- 距骨の壊死
- 距骨は血液供給が少ないため、壊死しやすい。外傷性のものと原因がわからない特発性のものがある。壊死する範囲が大きいと歩行できなくなるため、ボルトで固定したり人工距骨をはめこむ手術が必要になる
ただし、足や足首の痛みの原因は外傷性のものだけではありません。以下のように、足の構造上の問題や足の変形、内科系疾患などが原因になることもあります。
- 変形性足関節症
- 加齢や体重増加などが原因で、クッションの役割をする軟骨がすり減ってしまうことで痛みが出る。過去の外傷や関節リウマチが原因になることもある
- 扁平足
- 大人になってから扁平足になった人は痛みが出やすく、子供のころから扁平足という人は痛みが出にくい傾向がある。大人の扁平足の多くは、土踏まずを持ち上げる「後脛骨筋の機能低下」が原因のため、後脛骨筋機能不全と呼ぶこともある
- 外反母趾・内反小趾
- 足の親指が足の人差し指側に曲がることを外反母趾、足の小指が足の薬指側に曲がることを内反小趾と呼ぶ。ハイヒールなどの「つま先が狭い靴」が主な原因であり、女性に多く見られる。痛みや変形がひどい場合は手術が必要になることもある
- モートン病
- ハイヒールをよく履く人、つま先立ちや中腰の状態でいることが多い人がなりやすく、マレット指の人も起こりやすい。しびれが出ることもあり、ひどい痛みで歩けなくなることもある
- 足根管症候群
- 内くるぶし下側にある神経の通り道が狭くなることで痛みやしびれが起こる。原因がわからないものが多いが、きつすぎる靴などが原因になることもある
- 踵骨骨端症(シーバー病)
- スポーツをしている成長期の子供に起こることが多く、成長痛の一種とされることもある。かかとの骨の端の「踵骨骨端核」が剥がれたり、成長軟骨である踵骨軟骨に炎症が起きることで痛みが出る
- 痛風
- 高尿酸血症により尿酸の結晶が関節内に溜まることで強い痛みが起きる。足の親指の付け根やかかと、くるぶしなどに痛みが出ることが多いが、体中どこでも起こる可能性がある
- 偽痛風
- ピロリン酸カルシウムが結晶化することで痛みを引き起こす。足首、膝、手首、肘などに起こることが多い
- 関節リウマチ
- 自己免疫疾患のひとつで、特徴的な症状として朝のこわばりがある。関節の痛みは足首や足の指の付け根に出やすいが、手の指の第二関節や付け根、膝、肘、股関節など体中に現れる
このように、一口に「足、足首、かかとが痛い」と言ってもその原因はさまざまです。緊急の治療が必要な外傷や、内科的な治療が必要なものもあり、安易に湿布薬や痛み止めの薬でやり過ごすと深刻な状態に陥ってしまうこともあります。足に痛みがあるとき、痛みや不調が長く続くときは、早めに病院で診てもらいましょう。
足や足首が痛いときは何科を受診すればいいの?
足に痛みがあるときは、まずは整形外科を受診しましょう。整形外科では、捻挫・脱臼・骨折などの外傷はもちろん、アキレス腱炎や足根管症候群、変形性足関節症などの治療もできます。
痛風や偽痛風、関節リウマチなどは内科や専門の医療機関での治療が必要になります。しかし、尿酸値が高めと言われたことがある人で、明らかに外傷が原因ではないとわかる場合などは別ですが、一般の人が症状だけで原因を予想することは難しいです。
変形性足関節症のように、心当たりがなく、見た目の変化もない整形外科疾患もありますので、足に痛みがあるときはまず整形外科に相談し、必要に応じて専門の診療科を紹介してもらいましょう。
ただし、すでに関節リウマチや痛風などの治療中で、外傷などの心当たりがない場合は、まず主治医に相談して指示をあおぐようにしてください。
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治療の必要がない足や足首の痛みを防ぐには、どんな対策が役立つ?
病院で特別な治療は必要ないと言われた場合でも、足や足首に痛みが出ることはあります。足や足首の痛みは、以下のような「足の負担を減らす対策」である程度予防できます。
長時間の立つ状態が続くときの対策
- 少しの時間だけでもいいので、こまめに椅子に座るようにする
- トイレ休憩など「定期的な休憩」をとり、足の屈伸をしたり、足首を回したりする
- 立つ時間が長くなるとわかっているときは、クッション性の高い靴を用意する(機能性インソールでも可)
- 家に帰った後、ふくらはぎや足首まわりのストレッチをする
- 筋力維持のためにも、体重管理のためにも、適度な運動を習慣化する
スポーツするときの対策
- 運動前のストレッチやウォーミングアップは念入りに行う
- 足や足首を痛めやすいスポーツをするときは、テーピングやサポーターで対策をとる(何度も痛めている場合は特に注意)
- 自分のサイズに合う、種目専門のシューズを使用する
- 痛みや違和感があるときはすぐに運動を中止し、コーチやトレーナーに相談して必要な処置を行う
- 腫れや熱感などがみられる「急性期の痛み」があるときは、早急にRICE処置を行い、病院を受診する
- 疲労の蓄積はケガの原因になるので、休息するときはきちんと休む
自分に合う靴はどうやって選べばいいの?
立っている時間が長い人も、スポーツする機会が多い人も、足や足首の痛みには靴が深く関わっています。痛みの予防には、自分のサイズや状況に合う靴を選ぶことが大切です。また、モートン病や外反母趾のように、合わない靴が直接の原因になることもあります。
靴は、以下の点をきちんとチェックしてから買うようにしましょう。
- 足の甲に締め付けやゆるみがない(幅が一番広い部分のサイズは特に注意)
- 靴のかかと部分のカーブが「自分のかかとのカーブ」とぴったりあっている
- かかと部分がぐにゃぐにゃしておらず、ある程度の硬さがあるしっかりした構造になっている
- かかと全体を軽くおさえるようになっていて、きつさがなく、しゃがんだりしたときにズレない
- つま先に5mm〜1cmくらい余裕があり、指を自由に動かせる状態になっている
- できれば紐やマジックテープで固定できるものが良い(足の横ブレを防げるので安定性が高い)
- 土踏まずのアーチラインが自分の足に合っている(アーチ部分は低すぎても高すぎても足に負担がかかる)
- トップラインに隙間がなく、足首を締め付けていたり、くるぶしにあたっていない
- インソールはクッション性が高く、取り外し可能なものが良い
- 靴底(アウトソール)は、クッション性と耐久性を兼ね備えているものが良い
これらはあくまで基本的なポイントです。スポーツ用であれば種目によって変わりますし、試合用・練習用でも変わってきます。普段遣いの靴であれば、スニーカーかローファー・革靴かでも変わってきます。
最近は、3D計測器があるショップや専門のシューフィッターがいるショップも増えてきています。ショップスタッフにどのような状況で履くか、どのような悩みがあるかなどを相談し、選んでもらったほうがよいでしょう。また、靴の外来を設けている病院もありますので、痛みなどの症状がある場合は、一度相談してもよいかもしれません。
ただし、靴は足の負担軽減や症状の悪化防止、発症予防に役立ちますが、外傷や変形、炎症自体を治せるわけではありません。痛みがあるとき、何度も繰り返す痛みがあるときは、必ず整形外科に相談しましょう。
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おわりに:足や足首が痛む原因はさまざま。まずは原因特定のため整形外科へ
足や足首が痛む原因として多いのは足首の捻挫ですが、脱臼や骨折、痛風、関節リウマチなどが原因のこともあります。それぞれ治療方法が違うので、安易に痛み止めに頼って放置する期間が長くなってしまうと、深刻な状況に陥ってしまう可能性があります。足や足首に痛みがあるときは、まず整形外科を受診して痛みの原因を調べてもらいましょう。
治療が必要ないものであれば、足の負担を減らすことが痛みの予防・改善に役立ちます。靴の選び方は特に重要になってきますので、基本的なポイントはしっかりおさえておきましょう。できれば、信頼できるシューフィッターやショップスタッフなどを探しておくことをおすすめします。