子育て
公的機関や家庭でできる構音障害の訓練について
2022年8月31日
構音障害はどんな病気?
構音障害とは、正確な発音が思い通りにできない言語障害のことをいいます。
そもそも構音とは、構音器官を使って、言語音を生成する過程のことを指します。構音器官とは、肺や喉から出てきた声帯音源に言語音としての響きを与えるもので、下あご、舌、唇、軟口蓋のことをまとめてこう呼びます。
私たちは肺や喉から出した声帯音源を、舌の形や唇の開け閉めなどを使いわけてさまざまな発音をしています。構音障害とは、話し手側が同年代の人が正しく構音できる音を誤って構音しており、聞き手に不自然な印象を与えてしまう状態です。たとえば「ツ」を「チュ」や「トュ」と構音してしまうことなどが例として挙げられます。
構音障害は原因や症状によって大きく4つに分けられます。
まず、原因があきらかなのが「器質性構音障害」です。これは唇や舌などの形に問題があり、うまく発音できない場合はこちらに分類されます。口蓋裂や口唇裂などの異常によるものも器質性構音障害です。また、口腔底から下につながる下小帯という筋が舌の先近くに付着して舌が動かしづらい舌小帯短縮症も、器質性構音障害を起こします。その他、鼻咽喉閉鎖不全症や、口腔腫瘍等によっても生じることがあります。
「運動性構音障害」は、脳卒中や頭部外傷、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症、ジストニアなど、言葉を話すための脳領域に問題が起こり、構音器官に障害やマヒを起こすことで発音ができなくなるものです。
「聴覚性構音障害」は聴覚の障害によって正しい構音ができない状態のことを指します。
そして、構音に関わる器官の形成や機能に異常がなく、神経、聴覚にも異常がないのに構音に異常がある場合は「機能性構音障害」になります。こちらは主に幼児期にみられるもので、自然治癒することがあります。自然治癒が望めない場合でも、早期に訓練や指導を受けることで改善する可能性が高まります。
「構音障害かも…」と思ったら、どこに相談すればいい?
構音障害は成長とともに自然に治ることもありますが、訓練や指導を受けることで改善する可能性が高まるといわれています。また、専門家に見てもらうことで、小帯短縮症などの器質性構音障害や調音障害を発見することもあります。子供が構音障害かも?と思ったときは、まずは専門家に相談するようにしましょう。
身近なところとして、子供が通う幼稚園・保育園・学校の先生に相談することをおすすめします。また、お住いの自治体が運営する子育て支援センターや児童発達支援センターでも相談可能です。その他、自治体によっては言語聴覚士に相談できる場合もあるので自治体に確認してみましょう。
構音障害は、原因によって耳鼻咽喉科、形成外科、脳神経外科など診療科が変わります。どこを受診していいのかわからない場合はかかりつけの小児科の医師に相談してみるのがいいでしょう。
家庭で取り組める訓練について
構音障害を改善するための訓練を家庭内に取り入れることは大切です。子供が長く訓練を続けられるように、楽しく遊びながらできるような工夫をしていきましょう。
まずは子供の聴く力を高めるための工夫を取り入れることをおすすめします。
子供は周囲の話している言葉を聞きながら言語を学んでいくので、絵本を読んだりしりとりをしたりしながら、多くの言葉と発音を聞かせてあげましょう。また、訓練に集中させるために、動物の鳴き声や物音をまねて子供に当てさせるゲームも取り入れてみてはいかがでしょうか。
口の動きや顔の動きを子供に真似させることも訓練になります。子供と向かい合いながら、口を大きく開けたり、横に広げる、舌を上げる、下げるなどの動きを真似する遊びを取り入れましょう。
その他、息を吹く練習をすることも効果的といわれています。シャボン玉や風車で遊んだり、おもちゃのラッパや笛で遊んだりしながら練習していきましょう。
おわりに:構音障害かも?と思ったら、まずは専門家に相談を
発音にあやまりがあるからといって、即、構音障害というわけではありません。子どもの成長過程で発音にあやまりがあることはよくあることで、正確な音を獲得する期間には個人差があるからです。しかし、構音障害の原因が聴覚などにある場合もあります。構音障害化も?と思ったら、まずは専門家に相談して正しい対処を行いましょう。
【 厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】