子育て
塩分不足になるのも体によくないって本当?
2022年7月20日
体に必要な塩分はどのくらい?
体内の水分量の約0.85%が体の塩分濃度で、体重の2/3が水分といわれています。厚生労働省によると、1日に必要な食塩摂取量は男性は8.0g未満、女性は7.0g未満とされています。また高血圧の人の場合は6g以下、腎臓に病気がある場合には3~6g以内とされ、世界保健機関では5gが目標値とされています。
塩分は体の中でどんな働きをしているの?
体内における塩分のはたらきとして、主に以下の4つが挙げられます。
塩分濃度を調整する
人間は、約60兆個の細胞からできています。この細胞を正常に保つため、細胞の内側と外側は体液で満たされ、細胞外液に多く含まれるナトリウムイオンが体液の圧力である浸透圧を一定に保つ働きをしています。このバランスを保つことで、食べ物から栄養素を吸収できるといわれています。
刺激を伝達する
筋肉の収縮や弛緩は、脳からの命令により、神経細胞を電気信号が伝わって引き起こされます。ナトリウムイオンが電気信号を伝えるため、塩分が不足すると伝達が正常に働かなくなります。
消化、吸収を助ける
胃酸のもとになる塩化物イオンは、胃の中で食べ物を殺菌、消化するはたらきがあります。また、ナトリウムイオンには小腸で食べ物からの栄養素を吸収するはたらきがあります。
体を弱アルカリ性に保つ
人間の体液は、弱アルカリ性を保っています。食べ物を摂ったとき、体内での代謝のはたらきにより、体が酸性に傾きます。血液などに酸性の物質が運ばれると、ナトリウムのはたらきにより、体を弱アルカリ性に保つことが知られています。
塩分不足になるとあらわれる体への影響は?
体内の塩分が不足した場合、以下のような3つの症状がみられる可能性があります。
食欲減退、めまい
体内のナトリウム濃度が高くなると、体は適正なナトリウム濃度に下げて、一定の塩分濃度を保とうとします。一方、塩分が不足すると、塩分濃度を保つために尿や汗などからナトリウムが排出されるのを抑制します。この働きにより、体内のナトリウムの量にあわせて体内の水分も調節され、体内の水分も少なくなります。つまり、血液や胃液などの消化液なども少なくなるため、血液不足は脳に必要な酸素供給の減少を招き、めまいなどが起こることがあります。
また、消化液の減少により、食べ物を消化できる量が少なくなり、食欲が落ちることもあります。すると体が正常にはたらかなくなり、体がだるくなることにより脱力感が生じる場合があります。
脱水症状
スポーツなどで汗をかくと塩分も排出されるため、体内の塩分濃度が低くなります。水分を補給しても塩分を補給しなかった場合、塩分濃度がさらに低くなります。体は、低くなっている塩分濃度に合わせて水分を多く排出しようとするため、熱中症や脱水症状などが引き起こされる恐れがあります。
また、運動中は運動による血流配分の変化や発汗などによって水分が排出されるため、腎臓の機能が抑制されることが知られています。塩分が補給されない場合、運動によりナトリウムは排出され続け、ナトリウムが筋肉からも溶け出すため、塩分濃度の低下が進みます。筋肉の収縮のために必要なナトリウムが不足することで、無意識に筋肉が収縮する痙攣が起こることがあります。
精神障害
体内の塩分濃度が急激に下がると、神経伝達に異常がみられ、精神錯乱や強い刺激を与えないと目が覚めない意識障害に陥ることがあります。ひどくなると昏睡状態となる恐れもあります。
おわりに:塩分不足も体に悪影響を及ぼします。適度に塩分を摂取することも大切です
塩分は体の中でさまざまなはたらきをしているため、不足することによりめまいや脱力感などがみられることがあります。個人差はあるにしても、どのような方であっても塩分はある程度摂取する必要がある栄養素です。適量を摂って、体がしっかりはたらくようにしましょう。