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経口補水液を飲むタイミングと使用目的は?スポーツドリンクと何が違うの?

2022年7月13日

経口補水液とはどんな飲み物?

経口補水液は、元々はコレラによる脱水の治療である「経口補水療法」で使われていたものであり、消費者庁から病者用食品として指定されている飲料です。
医療設備が整っていないような、点滴治療が難しい発展途上国での治療に役立つとして注目を集め、近年では先進国の医療現場でも活用されています。

経口補水液には、脱水のときに多量に失われてしまう「水と電解質(カリウム、ナトリウムなどのミネラル成分)」と、浸透圧を調整してこれらの吸収を速くするために少量のブドウ糖が含まれています。

脱水は、夏の暑いときはもちろん、感染症で下痢や嘔吐が起こったとき、激しい運動で汗をたくさんかいたときに起こりやすいです。
また、水分は皮膚や粘膜から蒸発したり、吐く息とともに日常的に失われるので(不感蒸泄)、それほど汗をかいてないように見えても脱水が進んでいることがあります。

脱水は熱中症のリスクを著しく高め、重症化すると危険な状態に陥ることもあるので注意が必要です。脱水は適切なタイミングで水分と電解質を補給することで、ある程度防ぐことができるといわれています。

どんな症状のときに経口補水液を飲めばいい?

失われる水分が体重の2%までが軽度の脱水、3%〜9%が中等度の脱水であり、10%以上が重度の脱水になり大変危険な状態です。
脱水は、軽度うちに水分と電解質を補給することで早期回復が期待でき、重症化の予防につながります。
以下の症状や変化に気づいたときは、なるべく早く経口補水液を飲みましょう。

軽度の脱水の症状
  • 頭痛
  • めまい
  • ふらつき
  • 喉の渇き
  • 口の中の渇き
  • 大量の汗
  • 汗をかかなくなる(中等度の脱水のサイン)
  • 食欲がなくなる
  • 尿の量が少なくなる
  • ぼーっとする、集中力がなくなる
  • 軽い下痢
  • 嘔吐
  • 微熱 など

また、正式な医学的な診断名ではありませんが、はっきりとした症状や体の変化が見られない「かくれ脱水」という状態もあるので注意が必要です。かくれ脱水のサインに気づいたときも、早めに経口補水液を飲みましょう。

かくれ脱水のサイン
  • 軽い喉の渇き
  • 尿の色が濃くなった
  • 皮膚が乾燥している。ツヤがなく、ポロポロとはがれ落ちる
  • 口の中がネバついている。唾液が少ない、出にくくなった
  • 便秘になった。便秘が悪化している
  • 手の甲の皮膚をつまむと、戻るまで時間がかかる。跡が残るようになった
  • すねにむくみがある。靴下のあとが10分以上残るようになった

中等度の脱水症も経口補水液で回復できるとされていますが、中等度まで進むと自分で経口補水液を飲めない場合があります。自分で水分を補給できないときは、すぐに救急車を呼びましょう。また、意識の異常や性格の変化、呼吸の異常、高熱、痙攣、自分で起き上がれない、自分で歩けないなどの症状があるときも、緊急の処置が必要になりますので、救急車を呼びましょう。

経口補水液を飲んではいけないときはある?

経口補水液は、健康な状態であれば、脱水になっていないときに飲んでも健康に支障がないとされています。ただし、経口補水液を飲んでも健康状態が良くなるわけではありません。むしろ、健康で普通に食事を摂っている状態でたくさん飲みすぎてしまうと、食塩の摂り過ぎになってしまう可能性があります。

また、高血圧や腎臓病、糖尿病などの人は、経口補水液を飲むと病状が悪化する場合があります。持病のある人は、医師の指導・管理のもとで飲むようにしてください。

経口補水液とスポーツドリンクはどんな違いがあるの?

経口補水液とスポーツドリンクは大きな違いは「塩分と糖分の量」であり、それぞれ以下のような特徴があります。

経口補水液の特徴
  • 体液とほぼ同じ浸透圧になるよう配合されていて、速く吸収される
  • 「脱水の回復」を目的に使用される
  • スポーツドリンクに比べて塩分が多く、糖分が少ない
スポーツドリンクの特徴
  • 胃腸への負担を軽くするため、浸透圧を低くしている
  • 経口補水液ほどではないが、水分や電解質を速く吸収できる
  • 激しい運動や作業、猛暑などでたくさん汗をかいたときの脱水予防が目的で使用される
  • 経口補水液に比べて塩分は少ないが、糖分が多い

スポーツドリンクは、あくまでも脱水の予防のために飲むものであり、ある程度進行してしまった脱水はスポーツドリンクでは改善できません。かくれ脱水のような軽度の脱水であれば回復できる場合もありますが、がぶ飲みしてしまうと糖分の摂りすぎで血糖値が上がってしまうので注意しましょう。

また、どちらも塩分やカリウム、糖分を含みますので、高血圧や腎臓病、糖尿病の人や、それらの病気のリスクが高いと指摘された人は、飲み方について事前に医師に確認をとりましょう

経口補水液は赤ちゃんに飲ませて大丈夫?

ミルクを飲めるようなら、乳幼児に経口補水液を飲ませても問題ないとされています。
年齢・学年別の1日当たりの摂取量目安は、以下の通りです。

1歳未満の乳児
体重1㎏につき、30~50ml
6歳までの幼児
300~600ml
小学生以上
500~1000ml

小学生以上は、成人でも高齢者でも1日当たりの摂取目安量は同じ500~1000mlです。

子供は、突然発熱したり、下痢や嘔吐をしたりしますので脱水を起こしやすいです。また、高齢者も暑さや乾燥を自覚しにくく、トイレの回数を減らそうと水分補給を怠る人も多いので油断はできません。
体調を崩す時期や時間帯によっては、すぐに病院に連れていけない可能性もありますから、子供や高齢者のいる家庭では経口補水液を常備しておくことをおすすめします。

なお経口補水液は、一気に飲むと胃腸を刺激し下痢や嘔吐を誘発することがあります。回数を分けて少しずつ、ひと口ずつ噛むようにしてゆっくり飲ませてあげてください。

家庭でできる経口補水液の作り方

経口補水液は、家庭にある材料で手作りすることもできます。
作り方を紹介しますが、手作りの経口補水液はカリウムをほとんど含んでいないので、市販の経口補水液とまったく同じ効果は期待できないでしょう。

また、手作りのものは腐敗しやすく、分量を間違えてしまうと望んだ効果が得られない場合もあります。手作りの経口補水液は、あくまでも「予防」のための使用に留め、作った当日に飲み切るようにしましょう。

家庭でできる簡易的経口補水液の作り方

材料

煮沸した清潔な水
1l
砂糖
20g~40g(大さじ2杯+小さじ1杯〜大さじ4.5杯)
3g
レモンなどの風味づけ
少々

作り方

  1. 材料をすべて混ぜ合わせて、お好みでレモン汁を加えて風味を調整する
  2. 煮沸消毒された瓶や水筒など、清潔な容器に入れて保存する

※分量は必ず正確に計ってください。

おわりに:経口補水液は、脱水の回復と重症化の予防のために使うもの

経口補水液は、体内の細胞と同じ浸透圧に調整されているので、脱水で失われた水分や電解質をすばやく補給できます。スポーツドリンクは経口補水液よりも胃に負担はかかりませんが、経口補水液よりも吸収が遅く、ある程度進行した脱水の回復はできません。
経口補水液は脱水の予防と回復、スポーツドリンクは予防が目的という違いがありますので、生活スタイルにあわせて買い揃える量を調整しましょう。

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