子育て
胃腸炎の原因は食べ物? ストレスで発症することもあるの?
2022年2月16日
胃腸炎になる原因は?
胃腸炎とは、何らかの原因によって胃腸に炎症が生じ、腹痛や下痢、嘔吐などの消化器症状が引き起こされる病気です。胃腸炎は大きく分けると、細菌やウイルス、食品を介しての感染による感染性胃腸炎と、アレルギーや食習慣の異常などによる非感染性性胃腸炎の2種類に分類されます。一般的には、非感染性胃腸炎の方が、感染性胃腸炎よりも症状は軽度です。
感染性胃腸炎
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などが付着した手で口に触れたり、汚染された食品を食べたりすることで感染します。以下に、感染性胃腸炎の原因となるものを紹介します。
ウイルス性胃腸炎
- ノロウイルス
- 感染性胃腸炎の原因のうち、多くがノロウイルスによるものです。ウイルスが付着した貝類を食べることで、大人から子供まで幅広く感染し、人から人へも感染します。
- ロタウイルス
- 人から人へ経口感染し、ほとんどの子供が3~5歳までに感染します。感染力が強いのが特徴です。
- アデノウイルス
- 呼吸器、目、腸、泌尿器などに感染症を起こす原因となるウイルスで、子供の間でプールを介して咽頭結膜熱(プール熱)を引き起こすことで知られています。汚れた手やタオルの共有、プールでの接触、呼吸器からの飛沫など様々な経路で感染します。
- サポウイルス
- ノロウイルスと感染経路が似ており、免疫や抵抗力の低い5歳未満の子供に感染しやすいウイルスです。
細菌性胃腸炎
- カンピロバクター
- 牛、豚、鶏などの腸管内に存在する細菌で、十分に加熱されていない肉や汚染されたまな板などで調理された食品によって感染します。
- サルモネラ
- サルモネラに感染している鶏卵や鶏肉を食べることで感染します。
- 黄色ブドウ球菌
- 人の喉や鼻などに存在する身近な菌が、食べ物の中で増殖する際に出す毒素によって胃腸炎が生じます。
- 病原性大腸菌
- 牛肉や、牛の糞で汚染された食べ物や水から感染します。
- 腸炎ビブリオ
- 生の魚介類から感染する細菌です。
- ヘリコバクターピロリ
- はっきりとした感染経路はわかっていませんが、口を介した感染や幼少期の生水摂取が原因と考えられています。
胃の粘膜に長期にわたって感染し、胃に炎症を起こします。
非感染性胃腸炎
非感性性胃腸炎は、特定の食品や薬品を摂取したことがきっかけで発症します。
アレルギー
特定の食品に対するアレルギー反応で、胃腸炎の症状が引き起こされます。下痢のほか、食べたものを吐いたり、皮膚に発疹ができたりします。
薬品
- 鎮痛薬
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬は、炎症や痛みを抑えるのと同時に、胃粘膜保護機能も抑えられるため胃粘膜が傷つきやすくなり、胃腸炎が引き起こされます。
- 抗生物質
- 腸内細菌のバランスが崩れ、胃腸炎が引き起こされます。
- 経口避妊薬
- ホルモンバランスが変化し、胃腸炎が引き起こされます。
- 抗がん剤
- 副交感神経が刺激され、腸の動きが活発になり胃腸炎が引きこされます。
食事
アルコールや香辛料といった刺激の強い食品によって胃腸の粘膜が荒れ、炎症を起こす場合があります。暴飲暴食も胃腸に負担がかかるので、炎症が起きやすくなります。
具体的にどんな食べ物が胃腸炎のリスクが高い?
感染性胃腸炎のうち、食品や水が原因で発症するのが食中毒です。食中毒を引き起こすリスクのある食品として、以下のようなものがあります。
- 刺身
- 腸炎ビブリオ
- 生卵、加熱不足の肉
- サルモネラ
- おにぎり、弁当
- 黄色ブドウ球菌
- 加熱不足の鶏肉、よく洗っていない野菜
- 大腸菌(腸管出血性大腸菌O-157を含む)、カンピロバクター
- 十分に加熱されていないカキ、アサリ、シジミ
- ノロウイルス、ロタウイルス
ストレスで胃腸炎になることがあるって本当?
細菌やウイルスによる感染がなく、ストレスが原因で胃腸炎のような症状が出る病気もあります。
過敏性腸症候群
消化器の病気の中でもっとも多くみられる病気のひとつです。女性では20代と50代、男性では30~40代の方に多くみられますが、近年では学校や受験などのストレスの影響なのか、小中学生にも増えています。
腸に何も異常がないのに、便秘・下痢・便秘と下痢を繰り返すような便異常、腹痛や腹部不快感などの症状があらわれます。
排便回数が多いのが特徴ですが、睡眠中はほとんど便意が起こりません。お腹にガスがたまったような感覚を覚える人もいます。ストレスの影響で自律神経が乱れ、自律神経によって支配されている内臓の働きに異常が出ることが原因と言われています。
機能性ディスペプシア
過敏性腸症候群と同様に、明らかな異常がないにもかかわらず、胃痛などさまざまな症状を自覚する病気です。胸やけやみぞおちの痛み、常に満腹感があり満足に食べられないといった症状があります。胃の運動機能障害、内臓の知覚過敏、心理社会的なストレスが原因と考えられています。
おわりに:胃腸炎にかかる仕組みを知って、予防に努めていきましょう
細菌やウイルスに感染するだけでなく、特定の食べ物や薬品、ストレスによっても胃腸炎は引き起こされます。胃腸炎のリスクが高い食べ物は調理の仕方に注意し、特定の食べ物や薬品を摂取する際は、医師に相談するのがおすすめです。また、ストレスをため込み過ぎないように気を付け、胃腸炎の予防に努めていきましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。