子育て
腟炎の症状の特徴とは?どうやって対策すればいいの?
2021年9月3日
腟炎は原因によって症状も違うの?
腟炎は原因によって症状が違います。
細菌性腟炎
細菌感染により発症する細菌性腟炎では、かゆみや発赤、おりものが灰白色から黄緑色、おりものの量が多いなどの症状がでます。
症状がない場合は治療をせず経過観察になることもあります。
トリコモナス腟炎
トリコモナス原虫が原因のトリコモナス腟炎はかゆみ、おりものの悪臭、おりものの量が多いなどの症状がでます。
カンジダ腟炎(腟カンジダ)
カンジダは真菌(カビ)の一種で、健康な人の腟内にも常在しています。カンジダが腟内にいることには何ら問題はありません。
しかし、疲れやストレスが溜まっていたり、睡眠不足などで免疫力が低下すると、カンジダが異常増殖を起こして、腟内や外陰部に灼熱感を伴う非常に強いかゆみを引き起こすことがあります。
カンジダという真菌(カビ)が原因のカンジダ腟炎は、激しいかゆみ、発赤、おりものがカッテージチーズのような形状、おりものの量が多いなどの症状がでます。また、おりものは「カッテージチーズ」のような白い塊になるのも特徴です。
排尿時や性交時に強い痛みを伴うようになり、陰部が腫れるため、重症化すると歩行に際にも摩擦で痛みを感じるようになります。
性器クラミジア
性器クラミジアは女性の場合、感染初期では自覚症状がほとんどないのが特徴です。排尿時に外陰部に軽い痛みやかゆみなどを伴うこともありますが、病院を受診することなく放置するケースが多いとされています。
しかし、クラミジアは腟からさらに深層にある子宮頸管や卵巣などの骨盤内臓器に炎症を起こし、卵管癒着などを引き起こします。この結果、将来的に不妊症に陥ることも少なくありません。また、炎症がさらに腹腔内に波及すると、肝臓周囲に炎症を引き起こして慢性的な腹痛などを生じるFitz-Hugh-Curtis症候群に進行します。
萎縮性腟炎
閉経などによる女性ホルモンの減少が原因となる萎縮性腟炎(老人性腟炎)では、出血、おりものの量が多いなどの症状が特徴的です。このように腟炎といっても必ず決まった症状が現れるわけではありません。
どんなときに病院に行けばいいの?
膣炎の症状が原因によって現れる症状が異なり、症状の重さにも個人差があります。
なかには治療の必要がないケースもありますが、次のような症状が続くときは放置せずに病院を受診しましょう。
- 異臭のするおりものが出る
- おりものの量や色に明らかな変化がある
- 外陰部にかゆみや痛みがある
- 不正出血がある
- 性交時に痛みを感じる
- パートナーが何らかの性感染症にかかった
子供の腟炎の原因と対処法は?
初潮前の子供の腟内は、エストロゲンが分泌されていないため腟粘膜が未熟であり、デーデルライン桿菌も存在しないため感染しやすい状態と考えられています。肛門からの距離が近いこともあり、肛門由来の細菌によって発生することも少なくありません。ここに局所の衛生状態の不良や手の不潔、偏食などが加わると、腟炎を起こす可能性はさらに高くなるでしょう。
急性期にはヒリヒリする感覚があり、下着についた黄色、みどり色、茶褐色のしみに気づいて受診する場合が多いといわれているので、そのような変化を見落とさないようにすることが大切になってきます。また、トイレの始末は前から後ろの方向に拭くこと、手をよく洗うなど、衛生管理を徹底するようにきちんと教えてあげましょう。
腟炎は自然に治る?予防はできるの?
デーデルライン桿菌と呼ばれる腟内常在菌は、乳酸を産生して腟内を酸性に保つことで細菌感染を防いでくれます。これを自浄作用と呼び、自浄作用が衰えたり追いつかなくなると細菌が増え、症状が現れます。
腟炎は自然治癒することもありますが、症状が持続したり、再発を繰り返すと悪化して子宮内膜症や卵管炎、骨盤腹膜炎などの感染症を起こしてしまうこともあります。これらは、不妊症の原因になることもありますので、腟炎が長く続いている場合は早めに病院で治療してもらうようにしましょう。
また、腟炎の予防のためにも、ジーンズなどを長時間履くなど「患部が蒸れる状況」をなるべく避けるようにし、生活習慣を改めて症状の悪化と予防に努めることも大切です。
インクリア®などの専用の腟洗浄機で腟炎の再発を予防できる?
腟洗浄機は腟内を清潔にして、おりものの臭いなどを軽減できるとの意見もあります。しかし、クラミジアやカンジダなど膣炎を生じる原因菌を排除することはできず、腟炎を根本から改善することができません。このため、膣炎の再発を予防することはできないと考えられています。
また、腟洗浄機を過度に使用すると、デーデルライン桿菌をはじめとした膣内の自浄作用を持つ常在菌を洗い流すこととなり、腟カンジダなどを再発しやすくなる可能性もあるので注意が必要です。
おわりに:どの腟炎も、早めの治療と継続的な予防対策が大切
腟炎は発症要因によって症状が異なります。また自然治癒することもありますが、長期化すると子宮内膜症などの深刻な病気に発展する可能性もあるので、自己判断せず早めの病院を受診して原因を特定し、適切な治療を受けるようにしましょう。
そして、症状を悪化させないためにも、再発を予防するためにも、生活習慣と衛生環境の改善に努めるようにしてください。