子育て
繊細で敏感な子供「HSC」とは? 発達障害との違いは?
2020年1月13日
HSCとは?HSPとの違いは?
まずHSP(Highly Sensitive Person)とは、とても敏感な人、繊細で感受性が豊かな人のことで、アメリカの心理学者・エレイン=アーロン博士が名づけた概念です。そして今回取り上げる「HSC」とはHighly Sensitive Child、つまりHSPの子供版です。
HSCの特徴は?
HSCの子供はとても感受性が高いため、例えば教室でほかの子が先生に怒られている場面に遭遇したとき、その怒った声や張り詰めた空気に対して、精神的なダメージを受けてしまいます。「居心地が悪くて嫌だなぁ」ということではなく、傷ついて疲れてしまうのです。また、避難訓練のサイレンなどの大きな音や、気圧の変化といった外部刺激に敏感に反応します。
このほか、HSCの場合には下記のような特徴があります。
- 親の気持ちを読み取る
- 誰かがつらい思いをしていると、敏感に察知し、疲弊する
- 直感が鋭い
- 臭いの変化や物の場所の移動など、ちょっとした違いに気づく
- 環境が変化するとうまく対応できず、疲れてしまう
- 人が集まる場所やうるさい環境を嫌い、ひとりで静かに遊ぶのを好む
- 物事を深く考える傾向がある
- 想像力が豊かで、芸術性に優れている
- 完璧主義
- 多くのことを質問する
- 年齢と比べて、難しい言葉を使う
- 大きな音などでびっくりしやすく、驚かされるのが苦手
また、アーロン博士はHSCの特徴として「DOES」も重視しています。
DOESとは「D=Depth of processing(深く処理する)」「O=being easily Overstimulated(過剰に刺激を受けやすい)」「E=being both Emotionally and having high Empathy in particular(全体的に感情の反応が強く、特に共感能力が高い)」「S=being aware of Subtle Stimuli(ささいな刺激を察知する)」のそれぞれの頭文字で、HSCの場合はこの4つすべてが当てはまります。逆にいえば、1つでも当てはまらない場合はHSCではないといえます。
HSCは発達障害?
HSPやHSCは障害や疾患ではなく、その人の生まれつきの特性・気質です。人口の15~20%はHSPとも推測されています。
発達障害の子供は音に敏感という特徴をもつので、同じく音に敏感なHSCも発達障害なのでは?という意見がしばしば挙がりますが、発達障害とHSCには決定的な違いがあります。
それは「他人の気持ちが理解できるかどうか」です。基本的に発達障害の子供は他人の気持ちが理解できず、人間関係の構築に苦労するという特徴をもちますが、HSCは逆に他人の気持ちを敏感に読み取ります。
おわりに:HSCは発達障害ではなくその子の特性
HSCを発達障害と誤解されている方もいるようですが、これについては提唱者のアーロン博士自身が強く否定している部分です。HSCはあくまで生まれもっての気質なので、治す必要があるものではなく、むしろ周囲の人が理解を深め、適切な接し方をしていくことが大切です。もしお子さんがHSCかも?と思ったら、アプローチの方法についても把握しておきましょう。